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-+「伝統」を守るヤダブ大統領
5 days ago
谷川昌幸(C) ヤダブ大統領が,大統領府職員に伝統的制服の着用を義務づけた(ekantipur, Nov16)。大統領府・副大統領府の職員には,年14000ルピーが制服代として支給されているので,制服着用は当然だ,という説明である。   ダルワ・スルワールと黒のバドガオン帽という服装が政治的にどのような意味を持つのか? 大統領は儀式的機関だから,伝統的装束を義務づける,というのが表向きの理由だが,その伝統はどの民族/カーストの伝統か?    人民主権共和国になったのだから,「人民」を普遍的に象徴する「人民服」の方が,よいのではないか?
-+マオイスト,土地没収再開
6 days ago
谷川昌幸(C) マオイストが地方で土地没収を再開した,と報道されている(ekantipur, Nov14)。マオイスト理論からすれば,地主の土地没収は当然だが,なぜこのタイミングなのだろうか? 20日の文民支配回復回答期限への景気づけか? それとも,ブルジョア化した党幹部への反逆か?   そもそも土地没収・分配(農地解放)は,米帝国主義でさえ日本に対して強行した政策であり,極めて近代的,民主的改革である。米帝ですらやったことだから,マオイストがやって悪いことはない。政府にできないのなら,マオイストが代行して農地没収・分配をやればよい。ネパールの地方の近代化は一気に進むであろう。   もう一つ,農地解放以上に重要なのが,都市部の不動産。これはネパール・バブルの諸悪の根源であり,こんなものこそ全部没収し,コミューン所有としてしまうべきだ。宅地,豪華住宅,賃貸マンション,豪華商業施設,こんなものは没収するか,懲罰的課税で国庫物納させる。不動産投機に走る銀行の接収も必要だろう。全部マオイスト理論に即した政策だ。   地方の土地解放,都市部の不動産解放をマオイストが実行すれば,ネパールが一気に近代化することは間違いない。
-+第3波デモ宣言の建前と本音
8 days ago
谷川昌幸(C) 1.ネパール社会の強さ 朝日(11/15)がマオイスト反政府デモを国際面で大きく取り上げている。武石英史郎記者がパンディ蔵相らにインタビューして書いた記事。さすが,要領よくまとめられている。   いつものことながら,ネパールは「平和」以上に「争乱」が絵になる。バンダ(ゼネスト)をやっても,議会や政府が長期間機能マヒになっても,ちゃんと(苦しくてもそれなりに)人々は生活している。日本では考えられないことだ。   これは,ネパールが先進国がすでに失ってしまったものをまだもっているからだ。ネパールは,経済も社会も,つまり生活がまだ前近代的であり,伝統的社会固有の強靱さを失っていない。そこが,日本人にとっては驚きであり,絵になり,ニュースになるわけだ。   この社会の強靱さに要領よく甘えているのが,諸政党。国政を放り出し,幹部エリートの権力闘争に終始しているように見える。建前は立派でも,本音は卑俗な身内の利権なのだ。マオイストもその傾向を強めている。   2.大統領に完敗した首相 たとえば,11月13日マオイストのプラチャンダ議長(前首相)が,20日までにマオイストの要求を受け入れなければ強力な第3波デモを開始する,と宣言した。ここにも,政党の社会への甘えが見て取れる。   そもそもことの始まりは,この5月,プラチャンダ首相がヤダブ大統領に完敗したこと。マオイストは,マオイスト人民解放軍の国軍統合問題でカトワル統幕長批判を強め,他党の反対を押し切り,単独で統幕長解任を閣議決定した。ところが,ヤダブ大統領が認証(署名)を拒否したため,カトワル統幕長は9月27日までの任期を全うし,めでたく退職してしまった。権力闘争に敗れたのは首相の方で,プラチャンダ氏は5月4日首相を辞任した。   この件に関しては,5月のブログで何回か指摘したように,憲法上,その気になれば,大統領の方が首相よりも強力だ。「民選国王」といってもよい。大統領は「国家元首」であり,国軍「最高司令官」であり,「非常事態」宣言権限さえももっている。民主的手続きの縛りはあるが,そんなものは国王でさえもっていた。イザとなれば,非常事態を宣言し,強権をふるえないことはない。大統領は国軍を救った恩人なのだ。   ...
-+ネパール憲法勉強会
11 days ago
谷川昌幸(C) 日本政治総合研究所(白鳥令理事長)が,ネパール憲法勉強会を開催する。お問い合わせは,下記まで。   ----------------------      ネパール憲法に関する勉強会   報告者:  Dinesh Tripathi 氏(LL.M.USA.Advocate,Supreme Court Nepal)   報   告:「 ネパール憲法について 」(使用言語:英語)   日   時: 平成21年11月24日(火曜日) 午後6:00~8:00 会   場: 国際文化会館 本館4F 402号室      東京都港区六本木5-11-16  電話:03-3470-4611       主   催: 日本政治総合研究所(IPSJ) 電話:03-3460-2392
-+動物供犠祭への政治介入:動物権利擁護派の偽善性
12 days ago
谷川昌幸(C) ヒンドゥースタン・タイムズ(Nov9)によると,バラ郡バリヤプールで5年に一度開催されるガディマイ・メラ(11月24~25日)は,約50万頭の動物を犠牲にささげる世界最大の動物供犠祭であり,500万人ものヒンドゥー教徒がお参りに来るという。   お祭りでは,水牛,山羊,アヒル,鶏,鳩などがガティマイ女神の前で犠牲に捧げられる。最近は,供犠禁止となったインド諸州からの参拝者が増え,供犠動物の数も増加しているという。   水牛や山羊の比率はわからないが,50万頭も供犠されるとすれば,ガディマイ女神の前は血の海となるにちがいない。それは,生命への畏敬と感謝の念に満ちた粛然たる情景であろう。   動物供犠は,他の動植物の生命の犠牲により日々生かされていることを思い起こし,他の動植物に感謝するための神聖な宗教儀式である。それは,死によって生かされている人間存在の原罪を告白し,赦しを乞い願う道徳的にも崇高な人間の行為である。   ところが,ヒンドゥスタン・タイムズ紙によると,このガディマイ祭に対し,動物権利擁護派が反対運動を繰り広げている。たとえば,インドの政治家マネカ・ガンディ氏らは,ネパール首相に抗議文を送り,ネパール政府がガティマイ祭に介入し動物供犠を止めさせるべきだ,と要求した。   こうした,主に西洋・インドからの圧力に対し,ネパール政府は宗教儀式への政治介入をきっぱり拒否した。ビム・ラワル内相は,参拝者の安全を守るため,警備要員の増員を約束したにすぎない。   このネパール政府の判断は,全面的に正しい。動物権利擁護派は,政府に圧力をかけ,国家の力で神聖な宗教儀式を止めさせようとしている。いくら西洋が非難しようと,そんな理不尽な要求に耳を傾ける必要はみじんもない。あえて叱られるのを覚悟でいうならば――   恐れおののきながら粛然と神の前で動物供犠をする人々と,愛玩犬に服を着せリードをつけて散歩している人本主義的・世俗的現代人を比較してみよ。どちらが生命に対しより真摯であろうか? どちらが,動物を本当に大切にしているであろうか? 動物供犠を非難する動物権利擁護派は,生命への畏れも,人間存在の原罪性にも無自覚な脳天気な偽善者である。   参照   2009/03/22  ...
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